ヤハズアジサイ

資料番号NB21-003668
学名Hydrangea sikokiana Maxim.
科(和名)アジサイ科
採取都道府県熊本県
公開解説 ヤハズアジサイはユキノシタ科に属するアジサイの仲間で、深い山の林内に生育しています。葉先(葉の先端)が2つにさけた形を矢筈(矢のはしにある弓のげんをかけるところ)に見立てた名前です。若い葉は全体が白く短い毛におおわれており、柔らかい手ざわりです。花は小さく、枝の先にたくさん集まって花序を形成します。花のいくつかは、がく片が花弁のように大きくなり、虫を呼び寄せる装飾花となっています。ヤハズアジサイは植物地理学で「襲速紀」とよばれる地域に分布する日本固有種です。「襲速紀」とは、熊襲(南九州の古名)の「襲」、九州-四国間の海峡である速吸の瀬戸(豊予海峡)の「速」、紀伊の国(和歌山県)の「紀」の3文字を続けた言葉で、九州山地、四国山地、および紀伊山地を中心とした西日本の太平洋側の地域をさしています。この地域に分布する日本固有の植物の多くは襲速紀要素とよばれ、かつては東アジアの広い範囲に分布していた種が気候変動などで襲速紀地域に取り残され、そこで独自に進化したものと考えられています。
 写真の標本は 1984 年に上益城郡清和村(現山都町)で採集されたものです。松橋収蔵庫には、阿蘇郡久木野村(現南阿蘇村)、下益城郡中央町(現美里町)、および八代郡の東陽村(現八代市東陽町)と泉村(現八代市泉町)で採集された標本も収蔵されています。これらの標本は、熊本県や日本の植物相の成り立ちを調べる際に、貴重な資料となるものです
公開解説引用熊本の自然と文化 松橋収蔵庫だより No. 9 (2009)
大分類植物・藻類・菌類
中分類植物 2
小分類種子植物 1

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