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ナンバンギセル

資料番号NB21-122963
学名Aeginetia indica L.
科(和名)ハマウツボ科
採取都道府県熊本県
公開解説ナンバンギセルは、イネ科やカヤツリグサ科の植物の根に寄生する一年生の寄生植物です。他の植物に寄生して栄養をもらって生活しているためか、緑色ではなく黄色がかった色をしています。寄生した箇所から伸びる短い茎には、小さな葉が何枚かついています。夏になると、細長い花茎を数本伸ばし、その先に一個ずつ花を咲かせます。淡い紫色の花は茎や花茎とは不釣り合いなほど大きく、形は煙草を吸うためのパイプ、すなわち煙管(きせる)に似ていて、とても目立ちます(写真1)。
写真2の標本は、当センターを拠点に活動するミュージアムパートナーズクラブ「雁回山の植物を観る会」の活動の際に採集されたものです。ナンバンギセルの代表的な宿主であるススキ(イネ科)の草むらを会員みんなで探索して見つけた果実期の標本です。丸く熟した果実の表面をやぶると、くすんだ緑色がかった黄土色の粉が大量にこぼれでます。余りに小さいため肉眼では大量の粉にしか見えませんが、これがナンバンギセルの種子です。
近年、身近な道具となったスマートフォンを使うと、このナンバンギセルの種子のようなとても小さなものもしっかり観察できるようになります。スマートフォンのカメラに、マクロレンズを取り付けることで拡大して撮影でき、画面上の操作でさらに拡大してみることもできます。写真3は、この標本の種子を撮影したもので、種子の大きさは、長さ約0.3mm、幅約0.2mmであることが分かります。さらに種子表面に浮き出ている細かな網目模様も見えてきます。
なぜこんなに小さいのだろう、網目模様はどんな役割があるのだろう。観察の世界が広がると、新たな不思議が見えてきます。
公開解説引用熊本の自然と文化 熊本県博物館ネットワークセンターだより No.43 (2019)
大分類植物・藻類・菌類
中分類植物 2
小分類種子植物 1

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