| 公開解説 | 石灰岩の中から貨幣石やフズリナのような小さな化石を探していて、一見、別のものを化石と間違えてしまうことがあります。それは、魚の卵のような小さな粒で、断面は同心円状の層が何層も見られます。この小さな粒はウーイド(ooid)と呼ばれるもので、岩片などの小さな破片を核として化学的に同心円状の層が作られた、直径2mm以下の球状または楕円状の粒子です。ウーイドの多くは、炭酸カルシウムでできています。表面は小さな粒が集まってぼこぼこしており、研磨面を見ると、化石ではなく、直径2mm以下の同心円状のウーイドが集まっているのが確認できます。このように、ウーイドのみでできた石灰岩を、魚卵状石灰岩といいます。現生のウーイドは、バハマバンクなど熱帯-亜熱帯の水深が浅い場所で作られており、潮間帯の大きな潮の動きに洗われている岩片に、水分の蒸発によって過飽和になった炭酸カルシウムが蓄積してできると考えられています。この石灰岩は、同じ地層でサンゴやフズリナの化石を産出することから、現生のウーイドのように熱帯-亜熱帯の浅い海でできたと考えられます。魚卵状石灰岩は、化石ではありませんが、特殊な環境でできる岩石なのです。 |
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