舞踊用手持木斧

ME. No.29
資料分類名舞踏用具 Dance Implement
現地名pem/hasok/asok
素材木、白色顔料(石灰)、青色顔料(Reckitt Blue)、黒色顔料(木炭)、黄色顔料(花?)
L.(㎝)
W.(㎝)14
H.(㎝)106
地域区分メラネシア Melanesia
推定収集地1ビスマルク諸島 ニューブリテン島ガゼル半島・セントジョージ水道 トーライ部族/Bismarck Archipelago, New Britain, Gazelle Peninsula and Saint George' Channel, Tolai tribe
推定収集地2ビスマルク諸島 ニューアイルランド島南部 スルスルンガ地域/Bismarck Archipelago, South of New Ireland, Sursurunga Area
収集者小嶺磯吉
寄贈者松江春次
執筆者1藤澤綾乃
解説1木柄の両端に,当地の生活に密接に関わる斧と櫂が表されている.斧の刃部は先端両面に調整がほどこされている.類例には鉄斧を装着した資料が認められる.記録によれば,実際に人を殺める際に鉄斧が使用されたこともあったという.櫂は鮮やかに彩色され,実に7 色の顔料が認められる.特に西欧由来の青色や緑色が目を引く.儀礼用具に広く用いられる渦紋や多重円紋,鋸歯紋の意匠が櫂部に彫られている.また一方の資料には,植物繊維を束ねた腰蓑状の意匠が柄の中ほどに付されており,ドゥクドゥクの儀礼を連想させる.

「文学部125年記念企画展 語り出す南洋の造形:慶應大所蔵・小嶺磯吉コレクション」展示冊子(p.10)より
執筆者2臺浩亮
解説2 ⼀⽊⽊柄の両端に櫂と斧が表現される。櫂の両⾯には渦⽂を中⼼とする意匠が線刻され、7⾊の顔料( ⾚・⽩・⿊・⻩・⻘・緑・橙) によって彩⾊が施される。線刻とそれをなぞる⽩⾊は他の⾊の彩⾊範囲を区分する役割を果たす。早い時期にビスマルク諸島において蒐集された資料にも⻘緑⾊の彩⾊が認められるが、当資料の鮮やかな⻘・緑⾊は⻄欧からもたらされた顔料に由来すると推定される。斧は基部から刃部にかけて幅は広くなる⼀⽅で、厚さは⼀様である。おそらく鉄斧を模したものであろう。先端には刃部調整が表現され、細部へのこだわりが感じられる。当資料の使⽤状況は不明確な点が多いものの、⽊柄の中央に付される植物繊維と⽻⽑による装飾は仮⾯演者の⾐装を連想させることから儀礼用具であった可能性が指摘できる。
過去に出品された展覧会「原始芸術」(サントリー美術館、1975年7月8日~8月17日)
「語り出す南洋の造形:慶應大所蔵・小嶺磯吉コレクション」(慶應義塾大学三田キャンパス図書館新館1F展示室、2015 年1月9日~2月7日)
本資料の掲載書籍南の會 1937『ニウギニア土俗品図集(上)』南洋興発、p. 111 719 第45図・5(第45図版)
サントリー美術館編 1975 『原始芸術』 第29図
山口徹監修 山口徹・安藤広道・佐藤孝雄・渡辺丈彦編 2015『語り出す南洋の造形:慶應大所蔵・小嶺磯吉コレクション』
土俗品図集No.719
類例掲載web(URL)https://anthro.amnh.org/anthropology/databases/common/image_dup.cfm?catno=%20%20ST%2F%202304
類例掲載書籍Heermann, Ingrid. 2001 Form Farbe Phantasie: Südsee-Kunst aus Neubritannien. Linden-Museum Stuttgart, p.44

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