鱶寄せ用漁具

ME. No.1636
素材椰子殻、籐
L.(㎝)20
W.(㎝)50
H.(㎝)44
地域区分メラネシア Melanesia
推定収集地1ビスマルク諸島 ニューアイルランド地域/Bismarck Archipelago, New Ireland
収集者小嶺磯吉
執筆者1堀いづみ
解説1 オセアニアでも他に類例の少ない固有の漁法,「鮫招き」に用いられた道具である.ココナッツの殻の上端と下端がリング状に切り出され,環状に巻かれた細竹に2 個1 組で向かい合うように通されている.細竹は二重巻で,外れないよう蔓植物で固定されている.一巻に10 組以上の殻が付けられ,打ち振るとそれらがぶつかり合ってカラカラと音を立てる.水中で鳴らすと,水鳥が小魚を襲う音と勘違いして,鮫が浮上してくると言う.その鮫を餌の魚でカヌーの近くにおびき寄せ,ロープで首を締め上げたのちに棍棒で仕留める.「鮫招き」は日常的に行われるというよりも,成人儀礼と密接に結びつく漁で,女性や未婚の若い男性は参加できない.ニューアイルランド島には,創世神モロアによって同時に生み出された鮫と人間を対等の存在とする信仰がある.それゆえ,カヌーに寄ってくる鮫と自分は同じ氏族だとみなされる.

「文学部125年記念企画展 語り出す南洋の造形:慶應大所蔵・小嶺磯吉コレクション」展示冊子(pp.8-9)より
過去に出品された展覧会「語り出す南洋の造形:慶應大所蔵・小嶺磯吉コレクション」(慶應義塾大学三田キャンパス図書館新館1F展示室、2015 年1月9日~2月7日)
本資料の掲載書籍南の會 1937『ニウギニア土俗品図集(上)』南洋興発、p.99 第57図 2
山口徹監修 山口徹・安藤広道・佐藤孝雄・渡辺丈彦編 2015『語り出す南洋の造形:慶應大所蔵・小嶺磯吉コレクション』
土俗品図集No.545

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