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クラプ(祖霊像)

ME. No.1452
資料分類名彫像 Figure
現地名kulap
素材石灰岩
L.(㎝)7
W.(㎝)9
H.(㎝)36
地域区分メラネシア Melanesia
推定収集地1ビスマルク諸島 ニューアイルランド島 南部/Bismarck Archipelago, New Ireland, South region
収集者小嶺 磯吉
寄贈者小嶺磯吉
解説1主に葬送儀礼用に制作使用されたもので、故人の肖像である。ただし、婚礼時の通過儀礼に用いられたこともあったという。各資料には年齢や性別、装飾にバリエーションがある。展示資料は男性像と女性像の2 体で、後者は陰唇の形状から成人女性像と考えられる。発達した眼窩上隆起は現地の人々を彷彿させる。男性像にみる顔の輪郭や口の表現はウリ像に類似し、腹部の前で手を組む姿勢もウリ像のなかに類例を探すことができる。指や毛髪、腕輪や首飾りといった細部も表現され、褪色摩耗が進行しているものの、顔面や胴体は彩色されていたことが分かる。製作時の像には、いま以上に見るものを惹きつける力があったにちがいない.1930 年代以降は、「珍奇」な土産物として西欧からの旅行者を喜ばせたことが知られている。

「文学部125年記念企画展 語り出す南洋の造形:慶應大所蔵・小嶺磯吉コレクション」展示冊子(pp.5-6)より
執筆者2臺浩亮
解説2 クラプ像の製作は良質な⽯灰岩が採掘できるロッセル⼭脈周辺で⾏われていた。葬送儀礼における故⼈の肖像として使⽤したほか、婚姻儀礼での使⽤例も記録される。⼥性や⼦供はクラプ像を⽬にすることは許されなかったという。儀礼⼩屋にて彩⾊・展⽰されたのちに破棄、もしくは⻄欧の商⼈に売却された。1870年-1910 年代にかけて集中的に蒐集されたが、キリスト教の布教活動の拡⼤によりクラプ像を使⽤する儀礼は衰退の⼀途を辿った。その後はナマタナイ村落周辺で⼟産物として⽯灰岩像の製作が⾏われたことが知られる。⼩嶺の活動時期より、当コレクションに含まれるクラプ像は儀礼⽤具から⼟産物へと変質する過渡期に蒐集されたと思われる。ニューギニア⼟俗品図集に掲載される、おそらく⼩嶺⽒が経営していた商館で撮影されたと思われる写真には慶應大コレクションに含まれるウリ像、マランガン柱像とともに、これら2 体のクラプ像が写し込まれている。
 これまでに、約500 体のクラプ像が博物館・美術館、個⼈のコレクションに現存することが確認されている。その⼤半が⼟産物として製作されたものと考えられ、中には⻄欧⼈を模したと思われる像も存在する。また同様の⽯灰岩製の像はセントジョージ⽔道を挟み対岸に位置するニューブリテン島ガゼル半島の秘密結社イニエット Iniet によって製作されたことが知られている。
過去に出品された展覧会「語り出す南洋の造形:慶應大所蔵・小嶺磯吉コレクション」(慶應義塾大学三田キャンパス図書館新館1F展示室、2015 年1月9日~2月7日)
本資料の掲載書籍南の會 1937『ニウギニア土俗品図集(上)』南洋興発株式会社、第16図版下段右から一番目
山口徹監修 山口徹・安藤広道・佐藤孝雄・渡辺丈彦編 2015『語り出す南洋の造形:慶應大所蔵・小嶺磯吉コレクション』

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