祖霊像(トコベイ)

ME. No.1371
資料分類名彫像 Figure
現地名Tokobei
素材木、貝片、植物種子
L.(㎝)-
W.(㎝)-
H.(㎝)-
地域区分ミクロネシア Micronesia
推定収集地1パラオ諸島/Palau Islands
収集者南の會調査旅行隊
寄贈者南の會調査旅行隊
執筆者1早川茉優
解説1小ぶりの木製座像で、大きさもほぼ同じである。性差ははっきりしないがおそらく、男女一対であろう。男性器を模したと思われる突起の有無、腹部の膨らみ具合、体格差から推測した。真珠母貝片を嵌め込んだアーモンド形の眼が際立つが、なんと言っても最大の特徴は、しゃがみこむ蹲踞(そんきょ)姿勢をとっている点だ。ミクロネシア西部の島々に類似した造形物が広く認められるが、トコベイ人形の起源とされるパラオ諸島トビ島では、座る姿勢は権威の象徴であり、しゃがむ姿勢は生と死の象徴だとされる。トビ島では、死後の世界が巨大なカヌーに見立てられる。トコベイ人形は死者の魂をそこに導き、守護すると信じられてきた。それゆえ、舟葬に使われる。他にも、トコベイ人形に悪霊を託して島から流すカヌー儀礼に用いられる。トビ島以外の島々に目を転じると、多産の象徴や祖霊といった意味を持つトコベイ人形が知られれている。20世紀初頭の日本統治期には、パラオの代表的な土産品として人気を博した。

慶應義塾大学文学部民族学考古学研究室『2016年度 慶應義塾大学 民族学考古学資料展『人を模る造形の世界―南洋・東洋・中近東―』』民族学考古学研究室 pp.6-7
執筆者2渡辺麻里江
解説2 蹲踞姿勢をとる小型の木製人形。性別ははっきりしない。暗色の硬木が使用されており、保存状態は良い。欠けや損傷は見受けられず、眼球に土が付着している程度。アーモンド型に切り出された真珠母貝片が眼窩に嵌め込まれており、その上に炭で黒目が描かれている。鼻、唇、目、頬など細かな凹凸が丁寧に仕上げられている。頭頂部は平坦で腕が短い。20世紀に入って、西ミクロネシアの島々から数多くのトコベイ人形が収集された。島ごとに外見が少しずつ異なり、使用目的も様々だ。祖先を模った像で、子孫の繁栄や豊作祈願、魔除けのための特別な木像であり、交易品でもあった。

慶應義塾大学文学部民族学考古学研究室『2016年度 慶應義塾大学 民族学考古学資料展『人を模る造形の世界―南洋・東洋・中近東―』』民族学考古学研究室 pp.4-5
過去に出品された展覧会「文化人類の宝庫 ニューギニア芸術展」(上野松坂屋新館5階、1962年9月11日~16日)
「人を模る造形の世界-南洋・東洋・中近東-」(慶應義塾大学三田キャンパス図書館新館1F展示室、2017年1月13日~2月8日)
本資料の掲載書籍読売新聞社編 1962『文化人類の宝庫 ニューギニア 芸術展』
慶應義塾大学文学部民族学考古学研究室 2017 『人を模る造形の世界-南洋・東洋・中近東-』pp.6-7

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