略歴・解説
下条照勝の三男。10歳で父を亡くし森重治郎(髤漆家初代森三樹)の養子となり奉公するが20歳っで養父を失う。日本一の漆芸家を目指し大正11年21歳、高名な茶道具の塗師遊部石済の門下となり、茶の湯の心に徹せよと論され、茶の湯、謡曲などを学ぶ。漆芸意欲に燃え昭和4年頃上京、紆余曲折の末、東京美術学校(現東京芸術大学)教授で漆芸作家山崎覚太郎の指導を受け、昭和8年32歳で独立し、帝展・日展14回の入選の道程を昭和30年頃までつづける。昭和初年漆問屋の社長箕浦益次郎は生涯の後援者となり、物心両面から援助をした。20年郷里に帰り漆芸に励み、和服の端正な姿は芸術家の風格を偲ばせた。