photo: SAIKI Taku

自分にできることをする:声(ニューヨークタイムズ2011年3月14日)

作家名(日)照屋勇賢
作家名(英)TERUYA Yuken
制作年2012
素材・技法新聞紙、ワイヤー、糊
サイズH20.5 × W34 × D30cm
著作権表示© yuken teruya
収蔵年2013(作品購入年月日:2013/03/25)
受入方法購入
解説1973年沖縄県(日本)生まれ。

1996年多摩美術大学油絵科を卒業後、1999年メリーランド・インスティテュート・カレッジ・オブ・アート(米国)を経て、2001年スクール・オブ・ヴィジュアル・アーツMFAプログラムを修了。歴史やアイデンティティといった問題意識を独自の視点で軽やかに表現し、現代社会への深い批評性を持つ作品を手がけている。

《告知―森:アスター・プレイス、NYC》は、グローバル化の象徴ともいえるファストフード店で日々大量に消費される紙袋用に切り倒された木々へのオマージュとして作られた。日用品や身近な物を用い
て現代社会の問題を鮮やかな洞察力によって表現しているところは、段ボールと映像を組み合わせた《儲キティクーヨー、手紙ヤアトカラ、銭(ジン)カラドサチドー2008》にも共通する。《自分にできることをする:声(ニューヨークタイムズ2011年3月14日)》は、2011年3月11日に起きた東日本大震災を受けて、当時を知らせるNYタイムズの1面に芽を刻み立ち上げた作品。海外メディアによる災害情報の扱い方は、海外に暮らす照屋自身が日本を外から眺める視線に重なるものがある。出生地、沖縄の歴史に言及した琉球着《遥か遠くからの未来より》は、戦争によって途絶えた職人の手仕事を借りて民族のアイデンティティを表し、抵抗ではなく平和のために行進する人々の姿を描くことで、歴史を記憶に長く留めることを試みた作品である。《金沢21世紀美術館》はモノポリーを使って美術館の社会的表象に疑問を投げかける。モノポリーは、資本を持つ者同士が競争し、他者の富を吸い上げながら富の独占を目指すボードゲームで、より強い者に富が集中していき、持たざる者は生き残れないゲームの仕組みは、現代社会そのものともいえる。一般的に民主的な場と考えられている美術館も完全に資本主義から独立した場にはなり得ず、富や権力、地位などのあらゆる関係性についても社会の写し鏡であるという批判が作品を通して示唆されている。

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