作家名(日)ユアサエボシ
作家名(英)YUASA Ebosi
制作年2021
素材・技法アクリル / カンヴァス
サイズH227.3 × W324cm
著作権表示©︎YUASA Ebosi
収蔵年2024(作品購入年月日:2024/03/29)
解説1983年千葉県(日本)生まれ。

2005年東洋大学経済学部卒業。2008年東洋美術学校絵画科を卒業。34歳頃から、自分が過去に生まれていたらこういった作品をつくっていたのかもしれないと思いつき、「大正生まれの架空の三流画家であるユアサヱボシ」という設定で絵画制作に取り組んでいる。描いた作品を歴史に落とし込み、架空のユアサのプロフィールとブレンドしていくという手順によって、架空のユアサの画歴や作品に関わる設定が、作品の誕生に伴って更新され続けている。描いた絵画のみならず、架空のユアサという人物の創造によって、歴史の上書きも意図されている。

《夢》は、架空の三流画家ユアサヱボシが見た夢をもとにして、戦争ごっこをしている子供たちが、犬の操縦する巨大ロボットに立ち向かうという様子が描かれている。高度な武器を擁する敵国に対して、玩具の刀で立ち向かう日本という構図は、第二次世界大戦中のゲリラ戦を彷彿させる。架空のユアサの経歴によれば、病のために実際に戦地には赴かなかったとあり、戦わずして敗戦を迎えた後ろめたさを翻すように、軍服を着て先頭を行く子供の姿に自身を重ね合わせていると考えられる。また、シュルレアリスムの紹介に務めた福沢一郎主宰の絵画研究所に16歳で入所、閉鎖後に山下菊二に出会うといった経歴の設定も、大きく戦争に傾いていく時代に前衛的な活動を進めた芸術家たちの影響を示唆する。架空のユアサは、『少年倶楽部』などの雑誌に親しみ、戦地にもなったアジア太平洋諸島のジャングルが描かれた色刷りの挿画に触れていた。本作におけるダイナミックな南洋の風景は、幼少期から親しんだイメージの記憶が、彼の創作に通底する精緻な構図と細部へのこだわり、また喚起的なテーマやノスタルジックな画風の確立に強い影響を与えたものと考えられる。本作は2021年作で、実在のユアサが時間と空間を自由に往来しながらに描いたものだが、架空のユアサが実際の制作年から時代を遡って描いたものとして後世に伝えられるという、歴史の混乱の可能性も孕んでいる。

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