貨幣の記憶(福沢諭吉)
| 作家名(日) | AKI INOMATA |
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| 作家名(英) | AKI INOMATA |
| 制作年 | 2021 |
| 素材・技法 | 4Kヴィデオ |
| サイズ | 1分29秒 |
| 著作権表示 | © AKI INOMATA |
| 収蔵年 | 2022(寄付採納年月日:2022/03/10) |
| 受入方法 | 寄贈 |
| 解説 | 1983年東京都(日本)生まれ。 生き物の生態に関する綿密なリサーチに基づき、異種の視点から照らし出される人間社会や人間と生物の関係性について考察し、人間以外の生物との協働による作品を制作している。 「貨幣の記憶」シリーズは、仮想通貨の登場による貨幣価値への揺らぎから貨幣システムを再考し、近代以前に貨幣として使用された貝殻を現代の通貨と結びつけ「貨幣の化石」を作り出す試みである。真珠貝に諸国の通貨を象徴する人物像を型取った小さな核を挿入することで、人物の形の真珠が出来上がる。貨幣の信頼を担保している「国」を代表する人物像を貨幣から切り離し、貝殻の中へと埋め込むことで、彼らは貝殻と共に歴史的遺構となる。真珠貝が示す亡霊的な表象や幻想的な光沢は、他の生物種へのまなざしと、 我々を取り巻くシステムへの信用についての揺らぎを表してもいる。《Lines―貝の成長線を聴く ver 3.0》 は、福島県相馬市で2011年7月と2015年7月に採集した2つのアサリの貝殻の断面を切り取って拡大した作品である。この2つの断面図からは、潮の満ち引きが影響して形成される貝の「成長線」と呼ばれる線を観察できる。本作では、津波による被害を受けたあと大きく成長するアサリの形状と、護岸工事によるストレス負荷の大きいアサリの湾曲した形状の違いが示されている。《Lines―貝の成長線を聴く ver 2.0》では、それぞれのアサリの成長線が刻まれる間隔をレコードの溝に置き換え音として認識できるようにしたことで、津波や護岸工事を経た環境に生息するアサリの「環世界」が聴覚を通して体験可能になる。本シリーズは、津波という自然災害と護岸工事という自然環境への社会的介入の関係性を示す、生物による記録である。 |
