光
| 作家名(日) | 八木夕菜 |
|---|---|
| 作家名(英) | YAGI Yuna |
| 制作年 | 2021 |
| 素材・技法 | 和紙、サイアノタイプ印刷 |
| サイズ | H95.7 × W63.4cm |
| 著作権表示 | © YAGI Yuna |
| 収蔵年 | 2022(作品購入年月日:2022/03/10) |
| 受入方法 | 購入 |
| 解説 | 1980年兵庫県(日本)生まれ。 2004年ニューヨーク・パーソンズ美術大学建築学部卒業。坂茂建築設計ニューヨーク支社を経て2007年ベルリンに移住、2010年に帰国して拠点を京都に置き、写真を表現メディアとした作品を制作し始める。日本の葬祭場から日本人の死生観を考察した《祈りの空間》(2017年)、光と影をテーマにした《BLANC/BLACK》(2019年)などの写真作品を発表。いずれも、見えているものを捉えつつ、それ以上に見えない心象風景や形相を像に結ぶ試みを続けている。 《光》、《風》、《土》は、長崎県雲仙市で有機農業と種の自家採種を30年余り行っている種採り農家の岩崎政利の活動に伴って制作された「種覚ゆ」のシリーズの作品である。在来種・固定種の種を守り育てるという岩崎の営み、またそれらを取り巻く雲仙の豊穣な自然環境をサイアノタイプで捉えている。鉄塩を塗布した和紙を露光した後の潜像は、奥深い時間の層の堆積と、形なき「光」の明暗が青色の濃淡として現れたものだ。地域の自然生態系に根ざした活動に目を向けるとともに、地域の文化や歴史を見直し再評価するバイオ・リージョナリズムを背景にした作品として、地球環境に大いなる課題を持つ現代の人間と自然の関係にひとつの視座を与えるものである。《種子に栄養分を移した後の横川ツバメ大根》は、地上に出ている部分が赤紫色、地中に埋まっている部分が白色の鹿児島県霧島市横川町由来の大根をサイアノタイプで写した作品である。「横川ツバメ」の名称は、「播種から収穫までが、飛んでいるツバメのように早いから」や「大根の色合いがツバメの羽と腹部のコントラストに似ているから」との説があるという。種採り用の大根は、種に全てを捧げ、繊維だけになって最期を迎える。老 いと枯れは次世代に生命をつないだ証であり、自然の循環の中でしか見ることのできない、生命の希望を捉えた作品である。 |
