セルII
| 作家名(日) | 塩田千春 |
|---|---|
| 作家名(英) | SHIOTA Chiharu |
| 制作年 | 2018 |
| 素材・技法 | 水彩、クレヨン / 紙 |
| サイズ | H56 × W42cm |
| 著作権表示 | @JASPAR,Tokyo,画像使用年 and Chiharu Shiotaの指定あり(2024) |
| 収蔵年 | 2020(寄付採納年月日:2020/03/02) |
| 受入方法 | 寄贈 |
| 解説 | 1972年大阪府(日本)生まれ。 1996年にハンブルク美術大学に留学して以来ドイツに拠点を求め、自らの内側に溢れるぬぐい去ることのできない感情や感覚をインスタレーション作品やドローイング、あるいはパフォーマンスで表現している。 《記憶の部屋》は、旧東ベルリンで取り壊しや改築によって不要となった建物の窓を塩田自らが集めて構成した作品である。20世紀の特異な歴史を持つ都市ベルリンに残されたこれらの窓には、時代の空気や人々の暮らしが染み付いており、一枚として同じものはない。いずれも異なる記憶を持つ窓という個の集積が、亡き者や過ぎた事を、今を生きる私たちに語りかけている。作品中央に置かれたアンティークの椅子は、「彼の椅子」と名付けられている。この「彼」とは、かつてそこにいた誰か、という意味で使われていて、かつての存在を今はもう目に見えない不在によって際立たせている。ドローイング作品《セルI》、《セルⅡ》、《セルⅢ》、《窓の向こう》の4点には、塩田が言うところの「生の拡張」が現れる。人間は物理的な身体によって縁取られている内側以上に拡張し、想像力の中でも生きながらえていくという考えである。また、細胞はひとりの人間につながった状態で小さな部屋の集まりとして描かれ、増殖、再生、代謝を繰り返す新しい生命が宇宙に溶け込んでいく様子も見て取れる。《記憶の雨》は、空間が赤い糸で埋め尽くされたインスタレーション作品。赤い糸は、血管や血縁を想起させるとともに、「もつれる、絡まる、切れる、結ばれる、張り詰める」といった人と人との関係をも象徴する。糸の先端には、かつて誰かが使っていた様々な種類の鍵が結びつけられている。過去とのつながりや痕跡を、人の手を介した素材を用いて表現することで、親密さや内省的な感覚を生み出している。 |
