玉山の冒険5(ミシェル・フーコーから輝かしい未来へ)

作家名(日)ドゥ・ペイシー(杜珮詩)
作家名(英)TU Pei-Shih
制作年2011
素材・技法HDシングル・チャンネル・アニメーション・ヴィデオ
サイズ7分
収蔵年2019(作品購入年月日:2020/03/16)
受入方法購入
解説1981年苗栗県(台湾)生まれ。

アニメーションとコラージュを組み合わせ、現実と虚構の間にある「歴史」や「真実」を問う作品で知られる。彼女の映像作品では、一見、無邪気でカラフルな牧歌的光景が繰り広げられるが、実は歴史的な事件や実在の人物を主題にしており、現実にあった暴力や破壊の物語が描かれる。現代社会における植民地化やグローバル資本主義の権力の問題を、多幸感に満ちて燦然とした色彩のもと皮肉に表現する作風で、国際的評価を得ている。

本作品は、歴史的な資料やオンライン上の情報源から集めた古典的な画像や映像によって、台湾の植民地化の歴史を描く。映像は、知識と権力の研究で知られるフランスの哲学者ミシェル・フーコーが草原で熟考する場面から始まる。続く場面では、極彩色の牧歌的な風景が広がり、純真なオランダの少年少女たちが森の中で戯れているかと思えば、彼らが突然戦争に巻き込まれ、中国の明代の軍人たちによる支配が始まる。そして、第二次世界大戦期の日本による統治が続き、最後は、蒋介石率いる中国国民党の政治的弾圧、二・二八事件の凄惨な虐殺で終わる。コラージュされた物語は、歴史というものが知識の断片のつぎはぎであり、時代の権力が都度作り上げる幻想であることを暗示する。

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