photo: SAIKI Taku

平文花星座箱

作家名(日)大場松魚
作家名(英)OBA Shogyo
制作年1993
素材・技法漆、木、金他
サイズH13 × W25 × D15cm
著作権表示© OBA Masashi
収蔵年2001
受入方法購入
解説1916年石川県金沢市(日本)生まれ、2012年石川県にて逝去。

石川県立工業学校図案絵画科において図案の基礎を学び、卒業後は父、大場宗秀に漆芸の基礎を学ぶ。1943年より2年間、金沢市県外派遣実業練習生として松田権六に師事。蒔絵の技法を幅広く習得するとともに漆芸表現に臨む姿勢等大きな影響を受けた。蒔絵の中でも、金属の板金を文様に切り塗面に貼り、漆で塗った後、板金の模様部分を研ぎ出したり、漆を剥ぎ取る「平文(ルビ:ひょうもん)」の技法に優れ、1982年「蒔絵」で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された。

漆を施した箱の黒い器面に北斗七星やカシオペア等の星座が描かれている。平文の技法によって個々の星は金で丸く施され、その周りには、青貝や金によって星の輝きが表され、それらは細い金の線平文によって結ばれている。その線をとまり木として、金で板平文された鳥たちは漆黒の世界に佇むようである。梅や牡丹等の花は、平文の力強さを持ちながら、筆で描いたように抑揚のある線で柔らかく表されている。洗練された小さな花々は、漆黒の無限空間に舞う。本作品は1991年から1995年にかけて作られた「星座シリーズ」のうちの一作である。簡略な記号へと抽象化された文様は、素材を生かす技術との融合の中で必然性をもって創出され、器形全体との格調高い調和を生み出している。

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