photo: SAIKI Taku

作品

作家名(日)山崎つる子
作家名(英)YAMAZAKI Tsuruko
制作年1964
素材・技法ビニール塗料 / カンヴァス
サイズH162.1 × W130.3cm
著作権表示© YAMAZAKI Tsuruko
収蔵年2007(作品購入年月日:2007/08/31)
受入方法購入
解説1925年兵庫県(日本)生まれ、2019年同地にて逝去。

山崎つる子は1954年に結成された「具体美術協会」の草創期のメンバーであった。その後もAU(アーティスト・ユニオン)、展覧会等、様々な活動において、ブリキを用いた立体作品、パフォーマンス、絵画作品といった多様な作品の制作を行ってきている。数十年に及ぶ制作活動を通して、山崎は一貫して実像と虚像、視覚・認知・再現をテーマに制作を続け、個と世界との関わりについて独自の視点で表している。

「具体美術協会」のリーダーであった吉原治良が述べた「他人のやらないことをやれ」に象徴される前衛的な美術論はその後の山崎の制作活動に多大な影響を与えた。《三面鏡ではない》は、鮮やかな染料が施されたブリキ板が高さ3.3メートル、幅6.6メートルまで繋がれた作品。1956年に制作され、野外具体美術展で《三面鏡》というタイトルで発表された作品である。当時の作品は現存せず、2007年の金沢21世紀美術館のコレクション展において作家自身により再制作された。1956年当時の作品タイトルは、作家自身の承諾を得ずに掲載された経緯があり、再制作を機に作家の意向により《三面鏡ではない》というタイトルに改められた。《The Cans》は、ブリキ缶に染料を施しランダムに並べた作品である。これらの作品群は、ブリキ、染料、光、影といったそれぞれの物質感が連鎖作用を起こし、圧倒的な存在感を放つ。平面性が高く、反射性が曖昧なブリキに染料を定着させ、三面鏡のような形を作り上げながら「三面鏡ではない」、あるいは缶を用い「The Cans(缶)」とタイトルを付ける世界は、実像と虚像、視覚と再現といった芸術の根源的テーマへの山崎独自の視点を表すものである。

PageTop