photo: NAKAMICHI Atsushi / Nacása & Partners

「電気服」に基づく素描

作家名(日)田中敦子
作家名(英)TANAKA Atsuko
制作年1956
素材・技法水性インク、クレヨン、水彩 / 紙
サイズH109 × W77cm
著作権表示© Kanayama Akira and Tanaka Atsuko Association
収蔵年2002(作品購入年月日:2003/3/31)
受入方法購入
解説1932年大阪府(日本)生まれ、2005年奈良県にて逝去。

大阪市立美術館付設美術研究所に通い、具象絵画や新しい表現形式の模索を始める。1955年「具体美術協会」へ参加。同会で発表した《作品「ベル」》や人型に管球を取り付け光が明滅する《電気服》などで注目を集める。1957年頃から《電気服》の管球と電気コードから着想を得た絵画を描き始め、以後一貫して同テーマの絵画を描き続けた。無数の円と線が複雑に錯綜する田中の絵画は、国内外で高く評価されている。

《無題(「ベル」の習作)》は、第3回ゲンビ展(京都市美術館、1955年)に出品された《作品「ベル」》のための習作である。2メートル間隔で繋がれたベル20個が、モーターによって自動的に順に鳴り響いていく仕組みであった。この習作は、20個のベルを逐次鳴り響かせるためのスイッチ部分の設計図の習作である。一方、《「電気服」に基づく素描》は、第2回具体美術展(小原会館/東京、1956年)で出品された《電気服》制作後に描かれた素描。《電気服》は、管球100個と電球約90個が取り付けられていた。全ての管球と電球の半数は9色の合成樹脂エナメル塗料で塗り分けられ、ギアの組み合わせによる点滅器により不規則に明滅する仕組みになっていた。本素描は、《電気服》の立体的構造、配線、管球や電球の配色などの様子を表すと同時に、その後追求される周密かつ錯綜する線の表現など、田中の創造力が感じられる作品となっている。以降、田中は絵画制作に傾注していき、《work》《作品》などを生み出していく。無数の円と線が複雑に錯綜する絵画は、田中独自の表現世界といえる。

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