photo: SUEMASA Mareo

回転 I & II

作家名(日)フィオナ・タン
作家名(英)Fiona TAN
制作年1997
素材・技法2 DVDs
著作権表示© Fiona TAN
収蔵年2005
受入方法購入
解説1966年プカンバル(インドネシア)生まれ、アムステルダム(オランダ)在住。

中国人の父とオーストラリア人の母の間に生まれ、オーストラリアで育つ。1988年にオランダに移住。アムステルダムの国立美術学校で学ぶ。1997年、世界中に離散した自身の家系を追うドキュメンタリー・フィルムで注目されて以降、主に映像を媒体とした作品を発表。古い記録フィルムの断片やテキスト、タンが撮影したイメージを作品の中に織り交ぜ、新しい物語や独自の映像言語を創出している。

《回転 I & II》は、フィオナ・タン自身が斜面を転がり落ちる様子を写す大画面と、静止して横たわった手だけが映る小型モニターの2つから成る最初期のヴィデオ・インスタレーション。動と静、大と小という対比は、不釣り合いな空間占有の落ち着きの無さを見る側にもたらすものである。《リンネの花時計》では、過去を回想する手紙の朗読を取り上げており、その後も一貫してタンが追求していく記憶と時間の空間概念についての考察が見られる。《ライズ・アンド・フォール》も、異なる場所、異なる時間、異なる物語を一緒に編んだ、記憶が同時に存在し、アーカイブされていくことへの強い関心から生まれた作品。2枚の縦型のスクリーンに繰り返し登場する女性たちは、それぞれの記憶の中を往来しながら新しい時間の流れを作り出している。時間の焦点は絶えずずらされるが、前後の文脈や関係性については何も明確に示唆するものはない。見る者だけが唯一時間と空間の変調や変換によって、ひとつの物語を紡ぎ出すことができる。

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