| 略歴・解説 | 1913 静岡県伊豆下田に生まれる。
1930 鹿子木孟郎、赤松麟作に学ぶ。
1935 東京美術学校油画科入学、藤島武二に師事する。
1939 第26回光風会展で初入選、F氏賞を受賞。
第3回海洋美術展で海軍協会賞を受賞。
1942 第29回光風会で光風特賞を受賞。
1953 渡仏し、アカデミー・グラン・ショミエールにて研究。
1960 日展会員となる。
1972 光風会理事となる。
1989 小山敬三美術賞を受賞する。
1992 日本芸術院賞恩賜賞を受賞、翌年、日本芸術院会員となる。
1998 85歳にて逝去。
藤本東一良のプリズム
1913年(大正2)伊豆下田に生まれた藤本は,鹿子木孟郎、赤松麟作らに絵を学んだ後、1935(昭和10)年、東京美術学校に入学し、藤島武二に師事。日展や光風会を中心に活躍した画家です。1953(昭和28)年、欧州各国を旅行中、南仏のマルセイユでホテルの窓から港と丘を眺めたときに深い安堵感を覚えた体験から風景画に打ち込むようになりました。ヨットが陸揚げされた港や海の情景に大気の動きを捉えた風景画を得意とし、「藤本のプリズム」とたとえられる暖色系の明るい色彩と軽快なタッチが特徴的です。
藤本は昭和40年代より日本の風景を見つめるようになり、沖縄、そして鹿児島に写生旅行を行っています。写生旅行にはコンパスや湿度計を持ち歩き、雲の流れや気象の変化を察知し、あえて天候が変化し、崩れるような時を選んだといわれます。そして、上昇気流のような動的で激しい大気の変化に関心を寄せていた藤本にとって、桜島の噴煙のダイナミックな動きは、格好のモチーフでした。特に気象が激しく変化する秋から冬にかけての桜島を好んで描いており、今回展示している雪を冠した桜島や1日の気象の変化を1枚のキャンバスに捉えた油彩スケッチなどから、激しく移り変わる天候の中に桜島を捉えようとしていたことがわかります。なお、今年は藤本東一良の生誕100年、没後15年の節目にもあたります。虹のように七彩に輝く海の画家が描いた桜島をご覧ください。(新収蔵品展での解説パネルより) |