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二十三夜ガナシ
大分類 | 民俗 |
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所在地 | 徳之島全域・伊仙町全域 |
公開解説 | 個人聞き取り資料 〈どのような行事か〉 二十三夜ガナシは、旧暦1月、5月、9月の23日に行う、月を拝む行事である。 〈使用する道具と手順〉 ◎二十三夜ガナシを拝む際に使用するもの ・御神酒(神様に供えるので、封を切っていないものを使用) ・スダラ(ヤブニッケイ) ・浜の砂(人が踏んでいないきれいな砂) ・海水 ・団子(星の団子と月の団子) ・線香 ◎手順 旧暦の1月23日の朝浜へ行き、人が踏んでいないきれいな砂と海水を汲んでくる。星の団子(小さな丸い団子を複数)と月の団子(大きめの平たい団子を2つ)を作り、スダラの葉を敷いた皿にのせる。団子をのせた皿は火の神にも供える。徳利に御神酒を入れ、入り口にスダラの葉を挿す。花器には花ではなくスダラを供える。グラスに海水を入れたものとスダラの葉を用意し、葉先で海水を撒きながら家の中を一周し、安全祈願をする。残った海水にスダラの葉を入れ、神様に供える。(この海水は、神様が身を清めるためのものだとのこと。)浜からとってきた砂は、線香立てに使用。線香の火は夕方から月が昇るまでの間絶やさないようにする。線香を立てるときには「今日は二十三夜ガナシだから、お供えします。いいことばかりありますように…」と唱えながら手をあわせる。 同じ東部の喜念集落では、星の団子は23個以上作り、線香は23本用意して火を絶やさないように順番に立てるという家もあった。 〈いつ頃から行っているか〉 子どもの頃から親がやっていた。親と一緒にやっていた。 〈行事の変化について〉 親が行っていた頃は洗い米も供えていた。また、線香も「夕方から月が上るまでの間、火を絶やさないようにする」と教わり、ずっとそのようにしてきたが、ここ数年は簡略化して3本まででやめているとのこと。 〈誰に教わったか〉 親がやっていたのを見て、一緒にやって自然に覚えた。 「昔、ある男が船に乗っていたら、潮に引かれ沖に流されてしまった。どんどん沖に流されるうちにとうとう夜になってしまった。真っ暗な中、右も左もわからなくなり困り果てたところ、潮が引き始め男が乗っていた船が瀬に上がった。自分が来た場所もわからず途方に暮れた男は船を下り、近くにあったスダラの木に登ったところ、月が見えたので自分が流されてきた場所がわかり、ようやく家に帰ることができた。」 〈場所について〉 拝む場所については特に決まりない。月はどこの場所にもつながっているため、家で拝んでも外の木の下で拝んでもよいと聞いている。 |
公開解説引用 | 1996「徳之島採集手帖-徳之島民族の聞き取り資料-」 鹿児島短期大学付属南日本文化研究所 文化遺産を活かした地域活性化事業報告書 |