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名付け祝い

大分類民俗
所在地伊仙町全域・徳之島町全域
公開解説個人聞き取り資料
聞き取り場所 伊仙町阿権

 名付け祝いは、もともと子どもが生まれて7日目に行う命名祝いであるが、最近は出生後1ヶ月頃の大安の日を選んで行われている。祝いの際は、命名紙に子供の名前を書いて床の間に貼り、名広めをする。また、御神酒を二本の瓶に入れ、瓶の口に紅白の紙で末広がりに折った栓を飾り、床の前に置き、塩・昆布・するめなどを盛っておく。お祝いに訪れた客は、家人から御神酒をもらう。家人からは3品か5品の祝膳が出される他、島料理やお酒などを出してもてなす。
 昭和53年編纂の伊仙町誌には、「男児であれば、弓・矢・本・墨筆・硯石・のみ・スバシ・ゲンノ(金槌)・バンジョガネ(尺がね)等を用意し、女児は本・墨筆・ハタオリ用具等を用意して名付け祝いをする。祖母かそれに代わる人が嬰児を抱いて、五合の白米を袋に入れて頭にのせ、嬰児に前記の道具を持たせるようにして「学習ナーレヨ」「大工ナーレヨ」「チヨウ婦ナーレヨ」「クレムチナーレヨ」と唱える。名付け石という黒い石を踏み、チョウギンを着た祖母が嬰児を抱いて上記の儀式をする地区もあったようだ。また、嬰児を抱いて炊事場に行き、釜の中のご飯をあさりながら、「ムンクスィ者ナーレヨ」と唱え、釜の底のスミを薬指で嬰児の額に黒くぬりつける。これは美男美女であれば悪魔がつきやすい、との伝説から、その魔除けだと話す古老もいた。こうして集まった近親者はシキをまわし、名付け祝いの小宴にうつる。」という記載がある。
 祝膳は、お祝いの席で来客に最初に出す食事。膳(膳組み)には、魚の吸い物と、サトイモやシイタケなどの山のものを入れた吸い物、紅白の餅など3種か5種の料理が載り、祝膳の品数は奇数と決まっている。(葬式のときは4種になる)
 島料理は、冠婚葬祭などで人が集まる場では欠かせないもので、豚肉と大根、ニンジン、昆布などを炊いたものや、あおさや魚など季節の食材を使ったてんぷら、サタてんぷらやサタモチ(黒糖のふくれ菓子)などがある。
公開解説引用伊仙町誌P521/伊仙町発行レシピ集P6
文化遺産を活かした地域活性化事業報告書

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