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【国指定】面縄貝塚

大分類遺跡
所在地面縄
時代・時期貝塚時代~グスク時代
公開解説 面縄貝塚は、貝塚時代前1期(縄文時代早期~前期並行期)からグスク時代(中世並行期)の遺跡である。遺跡の発見は昭和3年にさかのぼるが、これまでの調査によって琉球列島における土器編年上重要な資料が多く得られ、兼久式土器、面縄東洞式土器、面縄西洞式土器、面縄前庭式土器の標識遺跡として広く周知されている。遺跡の発見以来、貝塚名称が付せられているが、これまでの調査によって住居跡、集石遺構、石棺墓、貝塚などが発見されており、遺跡が居住域と墓域および貝塚によって構成されていることが明らかとなっている。
 平成19年度から平成27年度にかけて、本遺跡の範囲と内容を把握するための確認調査を実施したところ、遺跡の範囲が従来よりも大きく拡大することが明らかとなった。また、包含層、遺構面の堆積状況と遺物の出土状況を検討した結果、各時期における遺跡立地の変遷と遺跡の形成過程をある程度復元することができた。中でも特筆されるのは、昭和5年に発見された面縄第2貝塚の包蔵状態で、面縄小学校の校庭内とその周辺において貝塚時代前4期(縄文時代後期並行期)の良好な遺構面が残存していることが明らかとなり、本遺跡の中心となる時期を特定することができた。
 また、面縄第1貝塚からは各時代の土器とともに人骨や貝製品が検出されたため、面縄第1貝塚が長期間墓地として利用され、集落と墓地が地点を分けて併存していた可能性が高いことが示された。
 出土した貝類遺体、脊椎動物遺体の分析の結果、サンゴ礁域に生息する種が卓越し、時期によって組成が変化することが示唆され、植物遺体としては現在でも繁茂する堅果類や果樹類が検出された。新たに出土した人骨は、琉球列島先史時代人の形質を留めるものであり、その放射性炭素年代では、BP2800年前後の結果が得られた。こうした自然科学的分析の実施は、本遺跡の周辺環境、形成時期、消長を知る上で有効な手段であり、今後も継続的な調査が望まれる。
公開解説引用新里亮人編 2016『面縄貝塚 総括報告書』伊仙町埋蔵文化財発掘調査報告書16 伊仙町教育委員会

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