なベかなよう節

大分類芸能・娯楽
公開解説一、なべかなよー ヤーハレ
いきゃしゃるひぎゃらとて うまれたんがや
(いきゃしゃるひぎゃらとてうまれたんがや)
みずイくまちーヤーハレ
などぅやいっちゅて あまにみずぃくまち

二、かんげぇぐゎしゅりえ |
ぎしゆがまるぐゎやか んげぇぐゎしゆりえ
のりくみゅんど
ふくせきしゅとていぎんしゅが のりくみゅんど

三、きもぬうとしゃ
しきゃばんたまるぐゎが きむぬうとしゃ
ぬりゅんぬりゅんち
ぬららぬちゅもとまつ ぬりゅんぬりゅんち

四、まんなぬぐにやさ
あがればゆんどりゃぐゎぬ まんなぬぐぬやさ
のせきらんど ヤーハレ にしむらけいたかしゅやぬすイらんど

なベかなよう節 (共通語訳)
一、なべかな (女性名) よ。
どんな日を選んで生まれてきたのか。
母親に水を汲ませて。
自分は座ったままで、母親に水汲みさせて。
※大島の「嘉徳なべかな節」の打ち出しと似た歌詞がうたわれている。

二、考えなさいよ。
ぎしゆ(男性名、義志祐(男性名)がマルぐゎ(女性名)や考えときなさいよ。
福積主(男性名)と禎源主(男性名)が乗り込んでくるよ。
美女の乙女を求めて、男性が尋ねてきます。

三、肝のこわさ(根性が恐い)。
しきゃばんた(地名)のマルぐゎ(女性名)の、肝の恐さ。
乗ろう乗ろうと乗られない一本松に、乗ろうとしている。
※位の高い人に思いを遂げようとしている様を歌ったという。

四、まんな(胴廻り)が細いな。
あがれば(地名。面縄の東浜のことか)のゆんどりゃ(スズメ)の、胴回りは細いな。
乗せきれないぞ。
にしむらけいたか主(男性名)を、乗せきれないぞ。
※娘をスズメに例えた歌詞。

[曲目解説]
曲名は、打ち出しの文句からとられているが、歌唱の反復形式からして伊仙町方面の『取ったん金ぐゎ』と同曲だと考えられる。その曲調は奄美大島の「いきゅんにゃ加那」同系統だが、上句下句を同型旋律でうたう点が異なっている。歌詞反復の形式もそれに準じて異なる。詞型は585調で、奄美沖縄の短詞型歌謡で一般的な8886音の琉歌調ではない。これは小川学夫氏によれば、本土の数え歌のスタイルが奄美大島に入ってきて「行きゅんにゃ加那」としてうたわれるようになったのではないかという。ただし「行きゅんにゃ加那」の歌詞は585・855音の6行だが、徳之島の「取たん金ぐゎ」は上記で述べたように上下句同型の585・585音で、伊仙町や徳之島町亀津でこの形がみられる。類似の元唄がうたわれる徳之島町井之川の「ナンド節」や沖縄の「取たん金(かーに)」は、曲は「行きゅんにゃ加那」調である。本土から奄美、沖縄にかけて広く分布する数え歌調の曲が、徳之島の伊仙町方面で独自の展開をとげたと考えてよいだろう。歌詞は世間的な出来事、とくに人の噂がよくうたわれる「ゴシップ唄」の典型ある。1節ごとに特定の人名をあげ、その人にまつわる噂を出してゆく。歌詞①は大島の嘉徳なべ加那のことで、②以下は面縄の実在の人物ではないだろうか。「乗り込む」とはおそらく情事をほのめかしているのだろう。唄あそびの席では、人名が出されるたびに、その人についての噂やコメントがわれ、その背景が語られると驚きの声があがったりする。日常の話言葉でうたわれ、不定形なおしゃべり区長に近い歌詞も多い。このような「うわさ唄」「ゴシップ唄」 の傾向は、徳之島の「ちょうきく」にもみられる(以上、酒井「奄美歌掛けのディアローグ」参照)

公開解説引用文化遺産を活かした地域活性化事業報告書

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