| 公開解説 | 兄弟があって兄さんは金持ち、弟は貧乏でアーマ(お母さん)を養っていた。弟が兄さんの家に米借りに行った。「トオ、トオ、ムィー、ムイー(兄さん、兄さん)私に米を一合貸してください。アーマと二人祝いをしたいと思うので」といったところが、「お前に貸して 食べさせるより豚に食べさせてやろう」といって、豚に持って行って食べさせてしまった。弟は家に帰ってアーマに 「ヤクムィに米貸して下さいといったら、お前に貸して食べさせるより豚に食べさせた方がまさりといって、豚に食べさせてしまった」というと 「ああ、そうか、それだったらいいよ、いいよ、では、海行ってアサリして来て二人年とろう」といったので、「うん、それがいい」といって、弟は海に行き、あちらこちらアサリをしたチ。少しアサリをして捕ったものをテル(背負い籠)に入れて近くに置いたところが、カラシュゴモリックワで(空潮になっている小さなコモリで) カメが 「チンカラカムィグッヌ、チンカラ、チンカラ。 チンカラカムィグワヌ、チンカラ、チンカラ」と言っているので、それをテルに入れて背負って家に帰って来て、「ハイ、アームェー、アームェ-、兄さんが米クワ貸すのを嫌がったので、海へ行って来たところが、今日はいい物を拾いました」といったところが、「何のいいものを探したのか」というと、「カムィグワぬ物言うカムィグワ拾ったのですよ」というと、「いざ、いざ物を言わせてみよ」というので、床の前におろし、「さあ物言ってみよ」というと、カムィが「チンカラカムィグワヌ、チンカラ、チンカラ。 チンカラカムィグワヌ、 チンカラ、チンカラ」といった。カムイが大変面白く物言うものだから、それから弟 男は東家の大兄の家に行って、「ワーイムンカムィタンデー (私はいい物を手に入れましたよ)」といったところが、「何を手に入れたのか」といったので、「カムィグヮの物言うカムィグヮ手に入れた」といったチ。兄さんは「イ工 -馬鹿、カムィぬ物いゅんカムいぬあんむんや.(ああばかな、カムイの物言うカムィがあるものか)」こういったチ。「では、それをとって来て物言わして見よ」といったので、弟がカムィグクを持って来て物言わしたそうな。そこで、兄さんも感心して、「本当にこれは珍しい。全く不思議なことだ。では、そのカムィグヮを自分が借りてみよう」といって、 兄さんがそのカムィグワを借りて倉持ちの家に行って「もし、もし、私は今日いいものを手に入れましたよ」といったところが、「何を拾ったか」「カムィグクぬ物いゅんカムィグク カムイ タン (カムィグワの物言うカムィグリを拾った)」といったところが、「馬鹿者、お前カメの物言うカメがあるものか」といった。そこで兄さんがそのカメを持って行って物をいわせようとしても、いっこうに物を言わないものだから、男が怒って「ええこいつ、物も言わぬカメを持って来て物を言うなどとうそをついて不届きな奴だ、そんな物も言わないカメなんか割って捨ててしまえ」といって突き割って棄ててしまった。そこへ弟が来て「兄さん、どれ、私のカメは」「ああ、あれか、物も言わないものだから突き割って棄ててしまったよ」といったチ。弟は「ええ、そんなひどいことをして、私のカメグヮは何処に棄てたのです」「あっちに棄てた」というので、弟はそのかけらを大事に拾い集めて、家の庭に埋めたところが、そこに大きなキンチクが生えて来た。そこで弟が一節伐ったら米、一節伐ったら豆、一節伐ったら金、と、豆金が沢山出て弟は七倉を建てるようになったーチ。そこで、兄さんが、「一つそのカメのかけらを自分にも貸してくれ、自分もひとつやってみよう」といって、兄さん一節伐ったらが持ち帰り埋めたところが、またキン竹が立派に生えた。兄さんが喜んで、一節伐ったらアミ、シニ、一節伐ったら虫、一 節伐ったらオーヌジャ・マジュン(毒蛇)、沢山の虫けらが出て来たので、兄さんはびっくり仰天して息張り切ってしまったチ。弟はそのカメのお陰で七倉を建て、親もていねいし、親子ぜいたくに暮らしたそうな。うがさ(それだけ) |
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