寅千代丸一後生行き型

大分類伝承
公開解説子供のできない夫婦が神々に願立てして七年ぶりに子供を授かり、寺でシモマチ ・ ヤチャブロウと名前を付けてもらう。大変成長が早く、頭もよくけんかも強く友達を打ったりもする。十三のときに病気になり、「自分の死ぬときは、小刀一つ、馬のくつわ一つ、にぎり飯二つ、串魚二つを持たせ、七日ぶりには墓から出してくれ」と言って死ぬ。地獄極楽に行くと猫が出てきたのでにぎり飯一つと串魚一つを投げて食わせる。つぎに犬が来たのでこれにもにぎり飯一つと串魚一つを投げて食わせる。王様が猫にャチャブロウを食い殺せと命ずるが、猫はかぐだけして食わない。犬に命ずると犬もかぐだけして立ち去る。つぎに使用人に馬に食わせよと命じる。馬が大きな口をあけるやいなやくつわをかませて馬にとび乗り、街中を乗りまわし、踏み散らす。王様ももてあまし、「お前のようなやつは早く帰れ」と言うので、腕に証明の印を押してもらって帰ってくる。ヤチャブロウの家では今日は墓主がもどってくるから「七日ぶりの七日旗倒し」と親戚衆が墓参りに来ていると墓の中で音がするので、墓を開けて出してやる。ヤチャブロウはその後、百歳、二百歳まで長生きし、死後床の間に祭ってくれという。ヤチャブロウは六月の盛りでも火鉢がいる人だったが、死体のあとにあった炭のかたまりを神体とし、シモマチ ・ ヤチャブロウという神の名で祭った。

公開解説引用日本昔話通観 (1980年発行同朋舎出版) 415 ページ 小川 学夫氏所蔵

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