公開解説 | 貧乏人が山に木を切りに行き、弁当を木に掛けておくといつも弁当がなくなる。ある日、白髪の爺が現われ、「自分はシャミセンの国デンジルボーズという者だが、お前はよく仕事をするから自分のあとについてこい」と言う。母に止められるが、道々人に聞いて行く。炭焼きに聞くと、「この先の滝に向かって呼ぶと女が出てくるから、その女に背負われて渡れ。そのときどんなに痛くても痛いと言うな」と教えられる。女に背負われて渡ると、女はどこへ行くのかを訪ね、「自分はもとは人間だったが蛇になってしまったので、人間に戻る方法を聞いてきてくれ」と言う。それから先に行くと、 七、八人の家族で密柑作りをしていて、「二、三年来密柑がならない。ならせる方法を聞いてきてくれ」と頼まれる。城のような家に着くと、デンジルボーズが米一升と味噌一斤をくれる。「人を十人使うときに米一粒、五人使うときは半粒、味噌もそのように箸ではさんで入れよ」と言う。途中で頼まれたことを聞くと、「密柑には米の洗い汁を掛けよ。蛇になった女には洗い米を一粒食べさせ、腰を手のひらで叩け」と教えてくれる。途中、密柑をならせ、女を人間にして家に帰り、母を喜ばせ大分限者になった。 |
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