切り口

大分類伝承
公開解説昔、刀いじりばかりしていた若者がいた。生きたものを切りたいと思った若者は,ちょうど通りかかったはらみウナグを切り飛ばした。若者が現場から離れた後ろから赤子の泣き声が聞こえてきたので,ついでに赤子も切り殺してやろうと戻りかけたが,事が事なだけに人に見つかったら大変と遠くに逃げていった。近くの作場で赤子の声を聞きつけた老夫婦が現場へ来てみると,腹を切り割られた女とその血だらけの切り口から赤子が生まれていた。老夫婦はその子を連れ帰り,産湯につけ真綿でくるんでやり、女の死体も丁寧に葬った。その赤子を立派な跡取りに育てようと決め、幾年月が過ぎた。夢中で育てた甲斐あって、成績もよく何をさせても人一倍まさっていたのだが、同輩からねたまれ“切り口`と呼ばれ除け者にされるようになった。なぜ“切り口と 呼ばれるのか聞いたら、夫婦がありのままを話してくれた。学校を卒業し刀のさやを作っている店で働いていたある日、店の親方も驚嘆するほどの刀を持った男が店に来た。その男は昔、はらみウナグを切り殺したと話をしたので、親の敵とわかった少年が仇討ちをすることになった。仇討ちに勝った少年は母の墓前に怪剣をそなえ老夫婦のもとへ帰って幸福に暮らしたという。
公開解説引用水野 修採話徳之島民話集(西日本新聞社、1976年発行) 204~209 ページ

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