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【町指定】新田神社

大分類信仰に関わる場
所在地伊仙町喜念
公開解説【町指定文化財】

 喜念集落の霊験あらたかな聖地となっている神社である。別称で新田権現とも呼ばれるが、古くは喜念御岳(うたき)と言われ、鎮守の神として森全体が信仰の対象となっていた。祠(ほこら)には神道の神が祀られ、御神木(ごしんぼく)には、安産を願うため海砂が貢納される。新田神社にまつわる伝説がある。

「喜念集落の娘が太陽の光を強く受けたと感じて懐妊しました。娘は親、親戚、集落の人たちに恥ずかしく思いこっそり家を抜け出しお産を終えて自ら命を絶ってしまいました。その霊が神となって権現として信仰されるようになりました。」

と言われている。

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(町指定文化財台帳引用文)
 喜念闘牛場横の尾母に通ずる農道を1.5キロメートル位行った左手に、椎の木や松の木の生い茂った林の中に喜念権現がある。鳥居をくぐって森の中を500メートルぐらい行くと、高さ2メートル、横5メートル奥行5メートル程の洞窟がある。洞内には石碑が立っていて白い砂が敷きつめられ、花が生けられている。ここは権現さまといって昔から、鎮守の神様として崇められた聖地で、雨乞い、または豊年祈願の祭りをしてきた場所である。洞の西側には泉があって、小川が流れている。昔は村人の飲料水を汲むところであったし、ショウジ神の祭場でもある。住古喜念御岳(きねんうたき)と称し、森全域が信仰の対象ともされていた。
 御神体は女神さまで、安産と倖せを願い、現在でも参拝の人たちで海からの白浜の袋が奉納され、素朴で真摯な信仰の心をかいま見ることができる。両神社(喜念権現と新田神社)とも集落民に霊験灼かな神社として尊崇を受け、毎年彼岸の中日にその例祭が行われる。右側に祀られている祠が新田神社で、御神体は神道の神々が祀られている。両神社ともヤブニッケイのしば(玉串)が奉納される風俗がある。その祭りの際の祝詞の終末に集落民の氏名を告るのも異風である。その由緒等について諸説粉粉として定かでない。両神社の周辺は老松あり、また植物、鳥類の繁殖地としても保護を要すると考えられる。

所在地   伊仙町喜念
指定年月日 昭和53年2月23日
公開解説引用伊仙町誌編さん委員会 1978『伊仙町誌』
泉 義正(著)・大村達郎(編) 2004『鹿児島県大島郡(徳之島)伊仙町の民俗文化‐泉 義正遺稿集』
伊仙町指定文化財台帳

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