石枕

資料名(ヨミ)イシマクラ
遺跡柏原地区伝来
時代・時期古墳時代中期
解説 長さ24.5cm、幅27cm、高さ9.5cmの石製の枕(まくら)です。古墳に死者を寝かせて埋葬する際に置かれたもので、石枕(いしまくら)と呼ばれます。
 石枕全体はほぼ円形に整えられており、上面の中心部は頭の形に添うように削り出され、側面には1段(高縁1段)の段差がつけられています。表面は丁寧に磨かれているため光沢がありますが、よく観察すると、制作時の工具の跡が所々に残っています。段の外周には2個一対で7か所、合計14個の穴がうがたれており、立花(りっか)と呼ばれる、勾玉を背向かいに組み合わせた形の装飾品が立てられていたものとみられます。しかし、残念ながら本品に伴う立花は現存していません。立花が石枕に刺さったまま古墳から出土した例はこれまでにないことから、埋葬時に石枕から立花が取り外されていたものと考えられます。
 この資料のような単体の製品として存在する石枕は、古墳時代中期(5世紀)から後期(6世紀前半)にかけてみられ、大半が円墳から出土します。また、多くが茨城県南部から千葉県北部で出土しています。この地域は香取海(かとりのうみ)と呼ばれる、現在の霞ケ浦や牛久沼から印旛沼・手賀沼にまたがる範囲にかつて存在した内海に面しており、古墳の石室に使えるような石材の産出が乏しいという共通点があります。このことから、石枕は古墳時代中期の東関東の様相を考えるうえで重要な遺物といえます。
 この石枕は、市内柏原地区のとあるお宅が代々保管していたもので、いつ、どこで出土したのか詳しいことは分かりません。しかし、柏原地区の南に隣接する姉崎地区には、全長114mの前方後円墳である姉崎二子塚古墳が存在しており、そこからは国の重要文化財に指定されている、高縁2段で直弧文(ちょっこもん)と呼ばれる幾何学文様の施された石枕が出土しています。このことから、本資料が副葬されていたであろう古墳と姉崎二子塚古墳には何らかの関係性があるのかもしれません。

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