子持匂玉

資料名(ヨミ)コモチマガタマ
遺跡五所四反田遺跡
解説 古墳時代中期(5世紀)の滑石製の勾玉です。長さ6.8cm、厚さ3.2cm、重さは91gほどあり、全体的に丸みを帯びています。子持勾玉とは、勾玉の側面や背面に小さな勾玉状の突起を持つもののことをいい、この勾玉にも両側面に3つずつ、背面に4つの計10個の突起がついています。また、表面には石を加工した際の工具の痕も残っています。
 普通の勾玉は、古くは縄文時代からみられますが、子持勾玉は古墳時代中期になってから出現します。古墳時代においては、勾玉は副葬品として古墳から出土することが多いですが、子持勾玉は古墳からはほとんど出土しません。代わりに祭祀遺構(さいしいこう)からの出土が多いことから、何らかのまつり用の道具であったと考えられています。
 この勾玉が出土した五所四反田遺跡は、現在の五所小学校の建設に伴って発掘調査され、大量の木製農具が伴う古墳時代中期の溝や古代の道路の跡などが見つかっています。子持勾玉もその古墳時代中期の溝の中から出土しています。同じく、土師器高杯や小型丸底壺のほか、剣形の石製品や銅鏡、儀式用の木製の杖といった日常的ではない遺物も見つかっており、子持勾玉を含め何らかの祭祀のために溝の中へ投げ入れられた可能性が考えられます。

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