金銅製三輪玉

資料名(ヨミ)コンドウセイミワダマ
遺跡牛久石奈坂1号墳
時代・時期古墳時代中期後葉
解説 三輪玉(みわだま)という古墳時代の装飾品です。長さは2.15cmと2.35cmで、厚さ0.05~0.1mmと非常に薄く、銅板を打ち出して作られたとみられます。部分的に金メッキが残る、金銅(こんどう)という材質です。
 三輪玉は身に着けるアクセサリーではなく、刀剣類の把(つか)に装着された勾革(まがりかわ;つかんだ手を覆う部分)に、飾りとして付けられたと考えられています。金銅のほかに石製・青銅製のものが確認され、キャンディのような形をしているのが特徴です。
 この資料が出土した牛久石奈坂(うしくいしなざか)1号墳は古墳時代中期後葉の直径約30mの円墳です。発掘調査の結果、2基の主体部が豊富な副葬品とともに検出され、墳頂面中央に築かれた主体部Bから金銅製三輪玉2点が見つかっています。主体部Aからは市内最大の面径を誇る鼉龍鏡(だりゅうきょう)が出土しています。
 三輪玉の出土例は全国的にも少なく、千葉県では睦沢(むつざわ)町浅間山(せんげんやま)1号墳で金銅製三輪玉1点が出土しているのみです。また牛久石奈坂1号墳出土の三輪玉は鉄剣の把頭に密着して出土しており、剣に装着されていたことが確実です。三輪玉は大刀(たち)に伴うケースがほとんどで、鉄剣に装着された状態で出土したのは広島県空長(そらなが)1号墳の事例に限られ非常に珍しい資料と言えるでしょう。
 牛久石奈坂1号墳が所在する養老川中流域の牛久近辺には、牛久石奈坂1号墳が築かれる以前の有力な古墳が見つかっていません。5世紀の終わりごろに起きた社会変容のなかで、牛久石奈坂1号墳の被葬者のような有力首長層が台頭し、金銅製三輪玉で飾られた鉄剣や、銅鏡などの威信財を得ることができたのでしょう。

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