石釧

資料名(ヨミ)イシクシロ
遺跡大厩浅間様古墳
時代・時期古墳時代前期末
解説 石釧は、古墳時代前期から中期前半までにみられる石製の腕輪です。形はイモガイという巻貝で作られた腕輪がモデルになったと考えられています。大きさは、外径約7.6cm、内径約5.7cm、厚さ約1.7cm、重さは47.2gです。上下を横方向の溝で区切り、上半分は傾斜がつけられ、下半分はくぼみがめぐります。斜面は3つの区画に分けられ、それぞれに放射状の細かい線が密に刻まれています。石材は緑色凝灰岩と見られます。
 この石釧が出土した大厩浅間様古墳は、古墳時代前期末の直径約50mの大型円墳で、墳頂部(ふんちょうぶ)に埋葬施設が3つ見つかっています。石釧が副葬されていた中央の1号主体部は棺の長さが11.3mと推定され、被葬者の寝かされた中央部分には赤色顔料がまかれていました。石釧は右の足元側にあり、ほかに小型青銅鏡や刀子(とうす)、首飾りに使われたと思われる勾玉や管玉などの玉類が122点出土しています。
 石釧は単なるアクセサリーというより、いまの近畿地方にあった王権から配られた政治的な意味を持った石製品と考えられています。大厩浅間様古墳にこのような品とともに埋葬された人は、畿内王権との関わりを持った、地域を代表する人物だったのではないでしょうか。

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