大刀形埴輪

資料名(ヨミ)タチガタハニワ
遺跡山倉1号墳
時代・時期古墳時代後期末
解説【千葉県指定有形文化財(考古資料)】刀をかたどった埴輪(はにわ)です。遺存部高さ約64cm、最大幅約17cmです。
 古墳時代後期末(6世紀)に築造された前方後円墳、山倉(やまくら)1号墳から出土しました。埴輪群は、胎土(たいど)と製作技法の分析によって、埼玉県鴻巣(こうのす)市生出塚(おいねづか)遺跡の窯で焼かれ、はるばる運ばれてきたことが明らかになっています。
 器財(きざい)埴輪という形象(けいしょう)埴輪の一種で、鍔(つば)付きの大刀(たち)をかたどっています。下向きの刀身部の片側には2つのしずく形に貼り付けられた粘土紐(ひも)があり、装飾や刀を身に着けるための帯ひもを表現しているようです。刀が鞘(さや)に納まっている状態を表したのでしょう。また、接合はできませんが、他に鈴を表した破片が見つかっており、本来は大刀の柄(つか)に作られた勾金(まがりかね)(柄を握った手を守る部分:護拳帯ごけんたい)に鈴の飾りがあったようです。
 この大刀形埴輪の出土地点は横穴式石室の前ですが、形象埴輪の台にあたる下半の円筒部がなく形象部のみが見つかっており、本来は後円部墳頂に置かれていた可能性があります。他の形象埴輪と組み合わさって配置されていたと考えられます。
 大刀は武器ですので、まず、存在自体が被葬者の軍事的な力に結びつき、そして、立派な装飾の表現によって権威を示す持ち物であることを表そうとしたのかもしれません。

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