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水鳥形埴輪

資料名(ヨミ)ミズドリガタハニワ
遺跡山倉1号墳
時代・時期古墳時代後期末
解説【千葉県指定有形文化財(考古資料)】鳥をかたどった埴輪(はにわ)です。全体の高さが推定復元で約54cm、最大幅は約36cmです。古墳時代後期末(6世紀)に築造された前方後円墳、山倉(やまくら)1号墳から出土しました。埴輪群は、胎土(たいど)と製作技法の分析によって、埼玉県鴻巣市生出塚(おいねづか)遺跡の窯で焼かれ、はるばる運ばれてきたことが明らかになっています。
 頭部、脚部、尾羽などの破片が出土しており、幅広のくちばしと水かきのある脚の特徴から水鳥をかたどったと推定できます。
 水鳥形埴輪は動物を表す埴輪の一種で、他の埴輪と組み合わせられて何らかの意味を帯びていたと考えられます。もしコハクチョウなどの渡り鳥をイメージしたとすると、見知らぬ遠方との往来を葬送という「移動」に重ねたのかもしれません。また、基本的に人間がとどまれない場所、水面・空中という異なる世界の両方に属する存在として注目された可能性もあります。
 いずれにしても、水鳥形埴輪は形象埴輪の構成要素として、古墳時代前期から後期末まで200年以上作られ続けますので、単なる古墳用の装飾品というよりは、象徴的に必要とされたものだったと考えられます。山倉1号墳の水鳥形埴輪は、横穴式石室開口部の前に2体が並び、人物埴輪の列の先頭に配置されていますので、人々を他界(たかい:死後の世界)へ導いている姿を意図したようにも感じられます。

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