帯状円環型銅釧

資料名(ヨミ)オビジョウエンカンガタドウクシロ
遺跡御林跡遺跡
解説 薄くて細い板状の腕輪です。鋳型を使い、青銅で作られています。直径は5.6cm前後、一つの重さは9g前後です。弥生時代後期の方形周溝墓(ほうけいしゅうこうぼ)と呼ばれる、四角く溝を巡らせた墓の副葬品として見つかりました。
 銅釧は、御林跡(おはやしあと)遺跡の199号遺構と206号遺構という2基の隣り合った方形周溝墓から出土しました。それぞれ5点ずつ、計10点が出土しており、どちらも埋葬された人の右腕に5点連なって着けられていました。同時に出土した玉類との位置関係から、銅釧を身に着けた人は仰向けで、手を胸や腹の上に置いた状態で埋葬されたと考えられます。また、腕の骨の形態的特徴から、どちらも華奢な女性と推定されています。
 これらの銅釧は、帯状円環型銅釧(おびじょうえんかんがたどうくしろ)と呼ばれるタイプで、縄文時代のイモガイ製の貝輪にルーツがあります。弥生時代の北部九州において、イモガイ製貝輪が、銅に素材転換され、模倣されたことで成立したと考えられ、そこから東日本へ伝わったとみられています。また、もともとイモガイ製貝輪は女性が装着するもので、多連装が基本であったことから、御林跡遺跡から出土した銅釧にも縄文時代以来の腕輪にまつわる観念が引き継がれていた可能性が考えられます。

PageTop