| 解説 | 幼くして腎臓の感染症を患い、生涯この病とともにあった作者は、銅版画の魅力に夢中になり、大学を中退し、この道で生きようとする少し前、次のようなことを手記に綴った。「わき腹がひどく痛いが、これは間もなく腹の中にざくろが繁殖するお告げのようなものだ」(67年12月14日)。彼の作り出す影像は、はっきりとした何かを表すというよりも、腹の中でうごめき、突き上げてくる不気味な何かを不可知のまま暗示しようとしたものだろう。本作の有機的な図像はどこかレントゲン画像をも連想させる。上部に描かれた画中画のような5つの窓も、別な角度から撮影された体内の画像のように見える。題名の意味は不明だが、中央のザクロの内部のようなごてごてした部分と、そこから垂れ下がるフィルムのような部分が、微妙な角度で口を開くワニをイメージしたのかもしれない。各所に英語の記述も見えるが、言葉の意味自体よりも、何か病院のカルテをイメージさせるように感じられる。事実、こういった英語の文字は、この後さらに重要度を増し、彼の作品の表面を覆うようになってゆくのだが、そこでは、まったく読み取ることのできない文字、つまり文字風の影像となっていた。 |
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