| 解説 | 作者は版画制作と平行して1980年代前半から水彩画やガラス絵、モノタイプ、油彩画の制作を試み、1992年からはガラス絵展も数多く開催している。清宮質文の没後(1999年)、夫人から清宮の残したガラスをもらい受け、膠を引いた上に水彩や膠と顔料で描く清宮の描き方も教えられたが、表現が似てしまうため、結局は清宮のガラスとは異なるすりガラスを用いて独自の方法を編み出した。ガラスの上には油絵具がのりにくいため、最初にすりガラスのざらざらの面に水性絵具で描き、完全に乾いてから油絵具で加筆。作家によると水彩やアクリルは剥がれやすいが、最後の層に油彩を塗ると、空気を塞いで封印するような形になり、剥がれにくく色の持ちがよいとのこと。本作も白い部分が油彩で、最後に白を置くことで茶色や紫色など水彩やアクリルの色を定着させている。素材の質感からイメージを広げてゆき、タイトルの「白の場所」は出来上がった後につけている。ガラス絵は見えている面とは逆から描いていくため、完成までの工程を分解して最終的にどう見えるか逆算して制作する。版画にも通じる工程であるが、すりガラス上の水性絵具の不定型な広がりや即興的な滲み、絵筆による色彩の重なりは、様々なイメージを喚起させたという。ガラス絵や水彩などの試行錯誤を経て、1980年代末からはモノトーンだった山中の木版画にも色彩が入り込んでいくことになった。 |
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