歯痛に御利益があるといわれている永石神社

名称ヨミハイタニゴリヤクガアルトイワレテイルナガイシジンジャ
時代昭和(戦前)
解説ご神体は平たく長い石 サイ銭は子供のものに
 川尻川の手前に、長石様をまつった永石神社がある。この神社のご神体は、長さ160センチ、幅40センチ、厚さ8センチの平べったい長い石である。
 この御神体の石には、次のような話が言い伝えられている。
 むかし昔、山奥に住んでいた山姥が、長い石の杖をついて大きな石を背負って川尻の浜平まで下りてきました。大変疲れていたので石を浜平に置き、長い石の杖は少し上のほうの土手に差して、いままで見たことも聞いたこともない広い海をびっくりしたり、おもしろがったりして、しばらく腰をおろし休んでいた。やがて、山姥は「ここは本当に良い所だ。ここにおらの持ってきた宝を置いておけば、この浜の者たちの役に立つだろう」と言って、大きな石を置いて山に帰っていったという。
 次の日の朝、浜の漁師たちが漁に出ようとして、そこを通り石を見てびっくりしたが、どうすることもできずそのまま放置しておいた。その後、この石は沖からよく見えたので、漁に出た時の舟の位置を知る目印の石としたほか、舟をつなぐ石として使ったり子供たちの遊び場にもなったので、浜の人たちはこの石をとても重宝がった。
 そうしているうちに、この石が虫歯のように押せばクラクラを動くことから、歯の痛い人がお願いすれば痛みがなくなるという御利益があると伝わり、近郷の人たちのほか、それを聞き知った多くの人が長石さまを拝みに来るようになった。
 また、この石にささげたサイ銭は子供のもの-と、決められていた。そして、このサイ銭で「せんべい」を買って食べると虫歯にならないといわれ、古老たちは「昔は長石さまのサイ銭で、よくせんべいを買って食べたものです」と懐かしそうに語る。
サイズ
地域川尻
資料ID101TS00122

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