

常滑焼 小型甕破片(佐部城跡採集遺物)
名称ふりがな | とこなめやき こがたかめはへん(さべじょうあとさいしゅういぶつ) |
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大分類 | 考古資料 |
員数 | 1個 |
材質 | 陶製 |
時代 | 室町 |
世紀 | 15-16 |
解説 | 佐部城跡は、串本町上田原・佐部の境界に位置する山城で、堀内氏の勢力圏の最西端にあたる。『紀伊続風土記』によると、佐部城は田村半之丞が築いた城で、天正年間(1573~92)には小山・高川原勢と堀内勢が戦った城とも伝えられている。本資料は佐部城跡にて採集されたもので、15~16世紀と思われる常滑焼小型甕の破片1点である。本資料は北野隆亮「佐部城跡表採の常滑焼」(『和歌山城郭研究』22号、2023年)にて報告されている。口縁部も残り年代が判明する。 佐部城跡では、15~16世紀と思われる備前焼甕3点のほか、備前焼の甕かと思われるもの1点、(17世紀の)丹波焼の甕かと思われるもの1点がある。備前焼甕3点については、当館特別展「戦乱のなかの熊野―紀南の武士と城館―」において展示し、図録に掲載した。そのほか、佐部城跡では瀬戸美濃系天目茶碗・灰釉陶器、備前焼甕なども採集されている(堀口健弐氏が「紀南の中世城郭にて表面採集の備前焼―佐部城と神田城の資料から―」『和歌山城郭研究』11号、2012年)。ただ、これまで佐部城跡で常滑焼出土・採集の報告例はなく、本資料は東海方面からの遺物搬入の実態を示す貴重な事例となる。戦国期の佐部城周辺域では、西からは備前焼が、東からは常滑焼が流入する環境にあったことがうかがえる点において、本資料は重要な資料である。 紀南の城館の存続・利用期間が明らかになるうえ、紀伊半島における中世流通事情を伝える資料として、重要な資料である。 |