花鳥図衝立

名称ふりがなかちょうずついたて
大分類絵画
員数1基
作者鈴木景福・岡本緑邨
材質紙本著色
付属品黒塗台脚1対
法量まとめ景福139.2×85.3、緑邨133.5×64.0
時代江戸~明治
世紀19
時期江戸~明治
解説 鈴木景福(生没年未詳)による花鳥図の裏に、岡本緑邨(1811~1881)による花卉図を配した衝立。景福の花鳥図には月・ホトトギス・卯の花が、緑邨による花卉図には月・木蓮・山茶花・竹・石が描かれる。緑邨の作品は枠内の面に対して小さく、本紙周囲の余白に金箔が施されている。したがって、先に景福の作品が衝立に仕立てられ、後に緑邨の作品が裏側に貼付けられたと思われる。
 鈴木景福は、治右衛門と称した紀伊藩士で、紀伊藩のお抱え絵師であった野際白雪(1773~1849)に絵を習い、花鳥画が得意であったと『紀州郷土芸術家小伝』に記されている。淡い彩色を用いて繊細な描写で花木と小禽を描き、上品な印象を受ける本図の画風は、たしかに当館所蔵の白雪筆「花鳥図」と共通している。現段階では、景福の作品は本図を除いて知られておらず、貴重な作例といえる。なお、卯の花とホトトギスの取り合わせは、初夏の風物として、古くは万葉集にも取り上げられている。 
 一方、岡本緑邨は野呂介石(1747~1828)の画風に似た山水図に加え、名古屋で活躍した画家・山本梅逸(1783~1856)の画風を思わせる色鮮やかな花卉図や花鳥図を得意とした。県内には、比較的多くの作品が残されており、その人気の高さを窺える。墨線を主体とし、淡彩で彩色の施された本図は、大ぶりな木蓮の花の表現や、中国絵画由来の題材の取り合わせなどもあわせ、反対の面に描かれた、景福の花鳥図とは対照的である。両図には、背景にうっすらと浮かぶ月を描いている点が共通しており、衝立の裏に緑邨の作品を貼り合わせた人物の趣味が窺える。

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