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銅製経筒

名称ふりがなどうせいきょうづつ
大分類工芸
種類補足金工
員数1口
材質銅製鋳造金鍍金
付属品杉箱・包裂
法量まとめ総高30.3㎝、蓋高2.2㎝、底径13.4㎝
時代平安
世紀12
解説 筒身は平底の円筒形で、蓋は被せ蓋造りとなっている。錆により筒身と蓋が固着しており、現状開けることはできない。被せ蓋には鈕は付かず、わずかに甲盛のある平蓋となっている。蓋にはところどころに金鍍金が残る。蓋と筒身の両方側面に孔が2か所開けられており、棒などを通して密閉していたものと思われる。筒身は薄い造りで、筒身上部には錆化による穴が複数見られる。底板を筒身に嵌め込むかたちで整形しているが、筒身の接合箇所は肉眼・触診等でも明らかでない。
 筒身側面には銘文、山並と仏菩薩像(台座に乗る釈迦ないしは阿弥陀か)などを線彫り(蹴彫り)で描くが、錆・土に覆われている部分もあり、全容は不明である。中尊は印相が不明瞭ではあるものの、説法印を結んでいるとみられることから、釈迦如来の可能性が高い。また現状では中尊脇に菩薩または天人1名と僧形3名が、左脇にも脇侍1名が確認できる。線彫りの筆致は滑らかで熟練しており、全体的に紺紙金字経の見返し絵などに近い雰囲気を有する。銘文は籠字で「[   ]山覆説 僧弘弁」と願主の僧侶名が刻まれる。
 現状、経筒は「島津歳久」と墨書のある裂に包まれ、木箱に収納される。旧蔵者と思われる「島津歳久」については不詳。戦国時代九州の大名に同名の人物(島津歳久1537~92)がいるが、包裂の年代、墨書の字体ともに江戸時代以降のもの(近代)と思われる。

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