略歴・解説
ドイツ文学者・小説家。現在の広島県廿日市市に生まれる。旧制第五高等学校、東京帝国大学卒業。原爆投下時には女学校の教師として勤労動員の引率で宮島の工場にいた。戦後、長らく広島大学に勤め、退官後は広島大学名誉教授、さらに広島工業大学名誉教授になる。「寒菊抄」(1944年)が直木賞最終候補になる。同人雑誌『広島文藝派』代表、ドイツ文学の翻訳としては、フランツ・カフカ『変身』、『アメリカ』などがある。小説集『太田川は流れる』(渓水社、1982年)、『広島の橋の上』(渓水社、1988年)などで原爆の問題を問い続けた。