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「人に家を」発句懐紙

作品名(英題)Poem by the Haiku Poet Basho MATSUO
作品番号C-15
作家松尾芭蕉
制作年(西暦)1690
制作年(和暦)元禄3年
サイズ30.5×44.0
技法紙本墨書
形状軸装
作品解説「 印 」
大津にてとしの暮
けるに、人の新宅に
   やどりて春を待はべる
   とて
  
           芭蕉

  人に家を
     かはせて
        我は
       としわすれ

       元禄三冬末
          「印」「印」

本句は『俳諧勧進牒』(元禄4年刊)掲出の句。元禄3年(1690)の暮れに、近江大津に住む乙州(おとくに)の新宅で詠んだもの。乙州は芭蕉の門人で、その母智月とともに芭蕉の世話をよくし、芭蕉もしばしば滞在している。
元禄三年の今年ももう暮れようとしている。漂泊の身である自分は、滞在している家の主人乙州の新宅に移って、新しい年を迎えようとしている。人(乙州)に家を買わせて、おかげで自分は新しい家で年忘れができる、の意。両者の親しい間柄と、心安らかに新年を迎えられる芭蕉の喜びが感じられる。
 本書は現在「たふとさや」発句懐紙と共に同じ箱に納められており、「たふとさや」発句懐紙と同様長らく所在不明で、近年存在が確認された。門人の服部土芳(はっとりとほう)の『蕉翁句集草稿』や『蕉翁句集』に見える、門人貝増卓袋(かいますたくたい)に芭蕉が書き与え、その後土芳が所持した「元禄三年冬末」の年紀のある懐紙が本作に当たるとされ、芭蕉筆跡の基準作としても極めて重要な作品といえる。

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