作者小山田二郎
ArtistOYAMADA Jiro
TitleYoung Woman
制作時期昭和22-23年(1947-48)頃
技法・材質キャンバス、油彩
サイズ90.1cm×72.4cm
署名等画面右下:Oya ma

取得方法購入
取得年度平成11年度
所蔵品目録番号0050
作品解説キュビスム風の女性半身像。黒く太い曲線、直線によってデフォルメされた輪郭線を描き、抽象化し、分割して、無彩色で陰影をつけている。基本的に黒のグラデーションと白の明暗、そして茶系のグラッシ(薄い塗り重ね)によって大きな空間をつくり、その上に赤、橙、緑、青の薄塗りを控えめに塗り重ねる。キュビスム風と言っても、理論的な制作原理を立てているわけではなく、感覚的に少女の身体の躍動感を曲線で掴み、リリカルで美しい色彩と調子を直感的に施しているに過ぎない。しかし、それが全体的印象として、非常に爽やかで美しい、少女の凜とした雰囲気をつくりだしている。頬杖をついてどこか遠くをじっと眺めている透明な瞳の少女。
 裏面に自由美術協会のシールが貼付、それに住所が書き込んであり、杉並区馬橋の「安永寮」となっている。表題の「娘」はこのシールに拠り、昭和23年(1948)と昭和25年の自由美術に同名の作品が出品されている記録はあるが、図版の同定はできていない。前所蔵者の話によると、タケミヤ画廊個展(昭和27年5月)以前の作品だということだ。
 小山田二郎は、大正3年(1914)に中国遼寧省に生まれ(実家は今の栃木県大田原市)、帝国美術学校(現武蔵野美術大学)の在学中にグループ「アニマ」を結成。戦前は美術文化協会などに出品しながら、シュールレアリスティックな作風で制作していた(ほとんどが空襲で焼失)。戦後は、自由美術家協会の会員として発表。また、瀧口修造の推薦を受けて、神田のタケミヤ画廊で個展を開催してからは、主に個展を通して、その特異で表現主義的な作風が知られるようになった。
 昭和35年、小山田二郎は妻子とともに、府中市紅葉丘に自宅アトリエを新築する。しかし、1960年代を通じて、彼は自宅近くの多磨霊園で、一人時間を過ごすことが多かったという。
(山村仁志「作品解説」『府中市美術館所蔵作品50選』2000年、府中市美術館)

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