風景
| 作者 | レオン・リシェ |
|---|---|
| Artist | Léon Richet |
| Title | Landscape |
| 制作時期 | 19世紀後半 |
| 技法・材質 | キャンバス、油彩 |
| サイズ | 114.9cm×162.5cm |
| 署名等 | 画面左下:Léon-Richet |
| 取得方法 | 石原悦郎氏寄贈 |
| 取得年度 | 平成11年度 |
| 所蔵品目録番号 | 0293 |
| 作品解説 | 一本の木が手前に大きく、その左後方に歩き去る女性の後ろ姿が小さく配されている。川か沼を挟んだ対岸には赤い教会の塔と屋根が見える。水辺、一本の木、対岸の遠景、道と人物というモチーフは、リシェの風景画の典型であり、特に本作の構図は好んで用いられた。 雲の動きは速く、その隙間から漏れる光が対岸を照らす。画家は、移り変わる天候とそれが生み出す風景の変化を描写し、自然のドラマを画面に生み出した。筆遣いは時には荒く、幹や土など、絵の具の物質感の残る部分もある。下地に用いた茶褐色が、雲や木々、地面の基調となっている。 レオン・リシェは1847年生まれ。バルビゾン派の主要画家ナルシス・デイアズ(1807-76)に学び、その遺産を受け継いだ最後の世代といえる。1869年よりパリのサロンに出品を続け、しばしば賞を受けている。師とともにテオドール・ルソー(1812-67)から影響を受け、フォンテーヌブローの森を中心に風景画を数多く制作した。1907年にフォンテーヌブローの小村で没した。 本作は、大自然とちっぽけな人間との対比が印象的である。当時の都市生活の堕落に対する一種のロマン主義的な反逆と、失いつつあった自然への崇拝が見て取れ、バルビゾン派の精神をリシェが色濃く受け継いでいることが分かる。 (神山亮子「作品解説」『府中市美術館所蔵作品50選』2000年、府中市美術館) |
