ショールをまとう女
| 作者 | 鹿子木孟郎 |
|---|---|
| Artist | KANOKOGI Takeshiro |
| Title | Woman with a Shawl |
| 制作時期 | 明治39-40年(1906-07)頃 |
| 技法・材質 | キャンバス、油彩 |
| サイズ | 91.0cm×65.0cm |
| 取得方法 | 鹿子木良子氏ほか寄贈 |
| 取得年度 | 平成11年度 |
| 所蔵品目録番号 | 0062 |
| 作品解説 | 縦長の画面の中に、腰掛けた女性が仰ぐように収められている。やや傾げた頭と膝の向きがかすかなS字を成しており、伸び上がるような動きが画面に生じている。影の落ちた瞳は遠くを見つめており、固く結んだ唇やすっきりと伸びた腕は、大地に根を張った力強さを感じさせる。 鹿子木孟郎は3度留学し、主にパリの私画塾アカデミー・ジュリアンに在籍した。残されている解剖学の授業ノートや作品数からは、彼が絵画への情熱と忍耐力を持ち続け、並外れた努力を重ねたことが分かる。アカデミーでの成果もあがり、コンクールで賞を得たり、成績優秀な学生として月報の表紙を自画像で飾るなどしている。 アカデミーで師事したジャン゠ポール・ローランスとは、師弟の関係を超えて親しく交わった。2度目の留学時(1906-07年)には、ローランスの別荘があるノルマンディー地方の小村イポールに滞在し、大画面の《ノルマンディーの浜》を制作した。本作は、女性の風俗が似ていること、また衣服の長めに引いた線がこの時期に特徴的であることなどから、同時期の作品と推定できる。 鹿子木は、渡欧前の明治20年代に、小山正太郎が開いた私画塾である不同舎に学んでいる。留学後は京都に拠点を置いて、太平洋画会を中心に作品を発表し続けた。ヨーロッパの伝統画法を自ら実践し、また後進の指導にあたった。堅実な描写力と構成力を持ち味とし、その軌跡は明治の洋画史を語る上で重要である。 モデル描写に正面から取り組んだ本作品は、表現意欲と技術が調和して、完成された人物像となっている。鹿子木の代表作のひとつといえよう。 (神山亮子「作品解説」『府中市美術館所蔵作品50選』2000年、府中市美術館) |
