『ルクサンブール公園の噴水』の画像

ルクサンブール公園の噴水

作者児島虎次郎
ArtistKOJIMA Torajiro
TitleFountain at the Jardin du Luxembourg
制作時期大正9-12年(1920-23)頃
技法・材質キャンバス、油彩
サイズ51.3cm×62.8cm
署名等画面左下:T.Kojima

       
取得方法購入
取得年度平成10年度
所蔵品目録番号0133
作品解説児島虎次郎は、前景に噴水を大きく配置し、背後に雪に煙る街並みと空を描いた。夕陽が雪や曇った空に鈍く反射して、全体がピンク色にもやっている。その中でも噴水中央の像がところどころ赤く光り、画面に緊張を与える。パリのリュクサンブール公園にある噴水を描いた絵で、背景と噴水との位置関係は現在も残る街並みと同じであり、画家が現実の風景を変形することなく描いていることがわかる。
 画面には、紺、紫、緑、赤、白といった実にさまざまな色が原色のまま置かれ、またキャンバス上で混ぜられている。厚めの絵の具を短い線状の筆致で塗り重ねて、眼前の風景を丹念に、しかしその場の空気を逃さないように素早く捉えている。
 人物は描かれず、それが凍り付く空気とあいまって、孤独な雰囲気をたたえている。児島にとって親しい空間というよりは、異邦人の眼で捉えた決して自分がその中に入り込めない風景として迫ってくる。画家の孤独と、芸術の探求という目的に突き進む気概が投影されているようだ。
 児島は明治14年(1881)現在の岡山県後梁市成羽に生まれ、東京美術学校西洋画科を2年で卒業し、その後渡欧する。主にベルギーのゲントで絵画を学び、帰国後は岡山のアトリエで描いた作品を、フランスのサロンに続けて出品した。また倉敷市の大原コレクションの基礎となった絵画作品の収集に力を尽くしており、本作はそのために後年渡欧した際の作品であると考えられる。
(神山亮子「作品解説」『府中市美術館所蔵作品50選』2000年、府中市美術館)

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