風景
| 作者 | 三宅克己 |
|---|---|
| Artist | MIYAKE Kokki |
| Title | Landscape |
| 制作時期 | 制作年不詳 |
| 技法・材質 | 紙、水彩 |
| サイズ | 53.2cm×95.1cm |
| 署名等 | 画面右下:K.Miyake |
| 取得方法 | 購入 |
| 取得年度 | 平成9年度 |
| 所蔵品目録番号 | 0414 |
| 作品解説 | 横の長さが縦のほぼ倍近い、広々とした印象を与える水彩風景画。雨上がりの情景だろうか、画面奥の方から手前に向かって小川が蛇行して流れ、下方に曇天を映した大きな水面がひろがっている。川辺には緑色の草が生い茂り、野原の遠近感もていねいに描き分けられていて、中景の土手、そして向かって右手の林までの十分な距離と空間が感じられる。遠景には空気に霞んだ薄い青色の山並みが続き、画面の半分以上を占める上方の広大な空に繋がっている。 徳島で生まれ東京で育った三宅は、最初松本民治や大野幸彦に洋画を学び、明治24年(1891)、17歳のときに芝の慈恵病院でイギリスの水彩画家ジョン・バーレイの作品に感激、同27年にはアルフレッド・パーソンズの水彩画に感動して、水彩画専門の画家となる決心を固めた。以後アメリカ、ヨーロッパに留学した後、白馬会や文展を中心に活躍。水彩画関連の著作も多く、同37年には鹿子木孟郎との間で有名な「水彩画論争」を闘わせたりしている。大下藤次郎等とともに、日本最初の水彩画家にして、その普及に大いに貢献した一人である。 三宅の生涯を通して、サインや作風による年代の推定は難しく、本作もいつ頃の制作か、にわかには断定しかねる。しかし、大きさや描き込みの綿密さ、構図とモチーフ、そしてしっとりとした情感などを考えて、白馬会後期か文展の初期、明治後期から大正期辺りの制作と推定したい。 (山村仁志「作品解説」『府中市美術館所蔵作品50選』2000年、府中市美術館) |
