蛙の国
| 作者 | 小山田二郎 |
|---|---|
| Artist | OYAMADA Jiro |
| Title | The Land of Frogs |
| 制作時期 | 制作年不詳 |
| 技法・材質 | 紙、水彩 |
| サイズ | 34.0cm×25.0cm |
| 署名等 | 画面右下:Oyam |
| 取得方法 | 購入 |
| 取得年度 | 平成18年度 |
| 所蔵品目録番号 | 1394 |
| 作品解説 | でっぷりと太った蛙の王様は、豪華な料理の並ぶテーブルで食事中です。口をへの字にむすび、上の方を貌みつけながら、不器用そうに水かきのある手を料理に伸ばしています。おこぼれにあずかろうと、テーブルの下で待ちかまえる、ぎょろりとした目と鋭い歯のおたまじゃくしたちの貪欲さ。蛙の後ろの小さな台には、ドクロが乗っているのが見えます。夢に見た不思議で恐ろしい世界のような、あるいは幻想的な絵本の一頁のような、絵から物語が広がっていく作品です。 小山田二郎といえば、むしろ暗い色調で内面を深くえぐり出すような人間像を多く描いた画家として知られています。顔にあざができる難病や、突如失踪し二度と人前には表れなかったという孤独な後半生は、時にその暗い画風と重ねられます。しかし、小山田の魅力は、この《蛙の国》のようなユーモラスな作品ぬきには語れません。だからこそ、時に攻撃的とも思えるような荒々しい表現で、死や生といった問題に向き合った場合でさえ、キラリと輝く人間らしさが生まれ、血の通った作品となっているのではないでしょうか。 (音ゆみ子「所蔵品から」『府中市美術館だより』第33号、2011年11月、府中市美術館より一部抜粋) |
