作品
| 作者 | オノサト・トシノブ |
|---|---|
| Artist | ONOSATO Toshinobu |
| Title | Work |
| 制作時期 | 昭和35年(1960) |
| 技法・材質 | 紙、水彩 |
| サイズ | 19.0cm×28.4cm |
| 署名等 | 画面左下:1960 オノサト・トシノブ |
| 取得方法 | 購入 |
| 取得年度 | 平成8年度 |
| コレクション名 | 河野コレクション |
| 所蔵品目録番号 | 0308 |
| 作品解説 | 左に大きな赤い円、右に青い円が左右対称に置かれている。円の周りには帯が描かれ、細かく格子状に分割され、塗り分けられる。さらに細かな部分は、線と面の区別すら難しく、ただ幾何学的なリズムのようだ。格子模様は、円の背景のようにもみえるが、同一平面上の構成要素のようでもある。透明な水彩絵の具を用い、ラフな感じで着彩しており、その響き合いの効果が美しい。 オノサト・トシノブ(小野里利信)は、長野県飯田に生れ、群馬県の桐生で育った。昭和10年(1935)には、黒色洋画展を結成し、抽象表現やシュールレアリスムで先駆的な役割を果たした。昭和15年制作の《黒白の丸》は、構成主義的な作品として注目されたが、後に開花する丸い形態への関心の芽生えでもあった。戦時中は応召し、シベリアで抑留生活を体験したが、帰国後は氏名をカタカナにして作家活動を再開し、その抽象的世界は国際的にも高い評価を得ることになった。 昭和30年頃から円と直線による作品を一貫して追究した。その理由を画家自身は次のように述べている。 「同じ大きさの『丸』を並べるということ、その事に感動があった。————それですべてである。作画は感動の具体化として起る。丸い色面が並べられたその空隙を縦、横の線によって埋められる。空隙が作るあらゆる変化は丸の動、静をつくりだす欲求を満たすために生れる。純粋色は、自然色からくる模写的な要素をさけさせる。」(『芸術新潮』1958年7月号) 画家は、絵画が具体的な物の再現であることを避けようとした。そして、不変のイメージを探求し、画面そのものが一つの実在であるような絵画を目指したといえる。抽象への生きた実践が伝わってくるようで興味深い。 (武居利史「作品解説」『府中市美術館所蔵作品50選』2000年、府中市美術館) |
